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渋谷のカルチャーを代表するエリア、渋谷円山町で人気な手打ちの讃岐うどん「麺㐂やしま 渋谷円山町」。
実は創業1936年という老舗のうどん店です。しかも手打ちうどんの実演、豊富なバリエーションメニューなどで国内外から多くのお客さんを集める有名店です。
今の店舗になってまだ10年ほどなので店舗はレトロでもなんでもないのですが、その長く数奇な歴史と常にアップデートされ続けるうどんを紹介しない訳にはいきません。
▲かなりインパクトのある店舗。
実際は円山町の普通のマンションの半地下部分で周りはどうということのないエリアなのですがここだけ異彩を放っています。
店名は「麺㐂やしま」。”㐂” という七が3つ並ぶ文字は ”喜” の異体字なので ”めんき・やしま” と読みます。
やしまのフルネームは「讃岐うどん 麺㐂やしま」、富ヶ谷にも店舗があるので店名のフルネームは「讃岐うどん 麺㐂やしま 渋谷円山町」となります。
立地と歴史
麺㐂やしまの創業は1936年(昭和11年)。二・二六事件がありベルリン・オリンピックがあったりといった時期に香川県善通寺市で営業を始めたそうです。善通寺ですから本場の本物の讃岐うどんです。
その後1970年代、まだ関東では誰も讃岐うどんなんて知らなかった頃に渋谷宇田川町に移転。いったん富ヶ谷に移転するも、富ヶ谷店はそのままで2013年に渋谷円山町店として渋谷に戻ってきて今に至るという歴史です。
善通寺→松山→渋谷宇田川町→富ヶ谷→渋谷円山町と店舗の移転や新規進出をしていたのですね。アメリカあたりだと普通にありそうですけど、日本では珍しいと思います。
▲今の店舗は渋谷の円山町というエリア。
円山町という地名からラブホテルとか風俗店が軒を連ねているエリアだと思われるかもしれません。まぁ当たらずとも遠からずで「麺㐂やしま」の近くにもラブホテルが何軒もあります。もともと円山町は宿場町だったので宿泊施設が多いのは当然かもしれません。
でも百軒店も近いですし、O-EASTのような大型のホールもあるし、ミニシアターのユーロスペースが移転してきたり、そしてクラブなども多かったりして、円山町は古くからの渋谷的な文化から現代の渋谷カルチャーまでを発信するエリアなのです。
70年代80年代の渋谷の中心だった宇田川町から「麺㐂やしま」移転した後、再び渋谷に戻る場所として円山町を選んだのはある意味必然だったのかもしれません。
▲以前は宇田川町、今は円山町。期せずして渋谷の文化の中心に店舗を持ったので「「麺㐂やしま」の名前はアーティストや文化系を生業とする人たちからも多くの支持を得ています・
例えばこの看板のロゴ。左隅に ”手打ちの味” という文字が特徴的な書体で彫り込まれています。デザインは岡本太郎です。
▲近くにライブホールやクラブもあり、ミニシアターもあり、BYGのようなロック喫茶もあるということでミュージシャン、映像監督、俳優、DJたちも頻繁に利用しているみたいで、サインがズラッと並んでいます。
麺㐂やしまの店内
その創業1936年、現在地では2013年からという麺㐂やしまの店舗を見てみます。
入居して10年だからまだまだ壁とかはきれいなんだろうなぁ。そんな想像はあっけなく裏切られます。
▲これ、まだ店内にすら入っていません。写真で右半分のところがドアで、そこを開けて店内に入ります。
壁や備品には映画のポスターやフライヤー、キャラクターのステッカーなどが所狭しと貼られ、もともとの壁面が見えません。
たぶんファンや来店者が貼っていくのだと思います。それに負けずとお店側もメニューや限定商品などを貼って対抗しているようです。
またほんの少しだけホーロー看板が見えたりしていますが、それが「麺㐂やしま」本来の趣味のコレクションです。富ヶ谷店も同じなのでずっと昔からの趣味なのでしょう。
▲店内の様子です。
4人がけのテーブル席と製麺室前にはカウンター席があります。
そして所狭しと置かれた古い玩具などのコレクション。
▲これらはレトロというより正統的な古玩具のコレクションです。ビリケン商会に並べるほど高尚ではないけど捨てたら二度と手に入らない古玩具や70年代、80年代のサブカルチャーをシンボライズするような写真やポスターなど。
混雑している時間帯は無理ですけど、空いている時間帯にはじっくり見てみたいコレクションです。
▲カウンター席は製麺室の前なので運が良ければ実際にうどんを打っているところを見られます。
インバウンドのお客さんに人気みたいです。
麺㐂やしまのメニュー
讃岐うどん店なのでメニューはシンプルかと思うとそうではありません。
バリエーションの豊富なところも「麺㐂やしま」の美点です。
▲「揚げ玉生醤油うどん」とか「明太子しょうゆうどん」などは普通に讃岐うどんですけど、「上カルビうどん」とか「ミートソースうどん」となると他では見かけません。
しかも英語表記付き。
▲こちらはかけうどん系。
さらに「麺㐂やしま」では麺の量や茹で加減など細かく指定できるのだそうです。
いわば無限のバリエーション。一度好みのレシピが決まればいつでも何度でも食べられるのですからリピートしたくなるのは当然でしょう。
▲こちらは円山町店限定ののメニュー。
これ以外にも季節に応じた限定メニューもあります。
オーダー
今回訪問したのは平日の午後遅く。
小腹が空いたのでちょっとおやつに「麺㐂やしま」のうどんを食べようという、今から考えると無謀な動機での訪問でした。
▲まずこちらは「ラー油揚げ玉生醤油うどん」、870円。メニューには迷ったらこれを注文しておけと書いてある、「麺㐂やしま」で定番の人気メニュー。
辛さはそれほどでもなく、薄めの出汁をちょっと刺激的にしてくれる相性の良さ。
うどんはツルツルしてコシもある私たちが知る典型的な讃岐うどんです。
そしてサイズですが写真のこれは普通サイズです。つまり麺だけで400gあります。
どんぶりの底までぎゅっと詰まっているので食べても食べても減らない感じです。
女性でおやつに普通サイズは無理です。昼食としてもちょっと多いかも。トッピングをどうするかも合わせて店員さんと相談してサイズを決めるのが良いと思います。たしか小サイズすれば麺の量が300gくらいになったはずです。
▲こちらはかけで「わかめうどん」、890円。
わかめがタップリ乗った温かいうどんです。
サイズはもちろん普通サイズで麺の量もしょうゆうどんと同じくらい。女性だとランチで全部食べるのがやっというボリューム感です。
▲うどんにトッピングしたいのが天ぷら。やはり多くの種類を取り揃えています。
左は「レンコン天」、右は「じゃこ天」。素材の味わいが引き立つ天ぷら。讃岐うどんとの相性も良いので好みの天ぷらをどうぞ。
ポイント
創業1936年の老舗ですが、誰も知らなかった70年代から渋谷で讃岐うどん認知させた偉大な讃岐うどん店です。その量も味も讃岐の名に恥じないもの。多くのファンがいるのも納得です。一度ここのうどんを食べればそのファンのリストに連なることは必至。
また店内のキッチュとも言える古玩具にも目が釘付けになりますし、多くのファンが勝手にデコレーションしたらしい店舗内外の過剰なディスプレイも楽しみの一つです。
ランチタイムや週末は行列になることもあるので平日にちょっと時間をズラして訪問するのがオススメ。
また運が良ければ手打ちうどんの実演を見ることができますから、海外の知人・友人と一緒に訪問するとのも楽しいと思います。
基本情報
店名 | 讃岐うどん 麺㐂 やしま 渋谷円山町 |
住所 | 渋谷区円山町 10-13 MAP |
最寄駅 | 京王井の頭線 神泉駅 徒歩約3分、渋谷駅 徒歩10分弱 |
定休日 | 不定 |
営業時間 | 11:00 – 23:00 (月曜日は22:00まで、火曜日は16:00まで) ただしうどんがなくなり次第終了 |
禁煙・喫煙 | 全席禁煙 |
営業時間、定休日などは変更になる可能性があります。