目次
レトロな街、長野県上田市
真田幸村など真田一族が築いた名城、上田城からスキーやラグビーで有名な菅平高原まで、歴史のある観光地として長野県の上田市。幕末から明治初期にかけて生糸産業で外貨を稼いだことで資本の集積も進み、普通の地方都市より多くの歴史的建築物などが遺されています。
ということはレトロなカフェやレストランも多いだろうということで、ラブレトロでも何度も上田を訪れそうしたお店を探しています。
今は北陸新幹線で東京から1時間半です。また、GWや夏休みに多くの人が訪れる軽井沢からは新幹線で30分、クルマなら1時間弱、旧信越本線から第三セクターになった「しなの鉄道」でのんびり移動して1時間。
上田を目的地に訪問するのも良いですし、軽井沢に行ったついでにちょっと上田まで足を延ばしてというのもありです。
これまでラブレトロで紹介してきた上田のレトロ喫茶やレトロ建築をいくつかまとめて紹介します。
▲上田駅に降り立ったら「お城口」側へ。大きなロータリーがあり、ここから北に見える山の方へ駅前通りが続いています。
もはや人なんか歩いていないような駅前通りですが、でもこの駅前通りに沿っていくつものレトロなお店があるのです。
あの上田城も含めてだいたい半径数百メートルの範囲に集中しているので、特にクルマでもなくても巡れます。
PR
重澤珈琲と上田映劇
上田駅からまず向かうのは映画館「上田映劇」とその一角に入る喫茶店「重澤珈琲」です。
重澤珈琲は朝の8時から、映画館も8時台の上映がありますから朝早くに到着しても大丈夫。
▲家具にアルネヤコブセンのハイスツールが使われていたり、有機栽培の珈琲豆を小さな手廻しロースター で焙煎しネルドリップで淹れたりとこだわりいっぱいの喫茶店です。
重澤珈琲がここに出店したのは比較的最近でレトロでもなんでもないのですが、「上田映劇」という建物自体がとても貴重なのです。
▲劇場として創業したのが1917年(大正6年)、つまり築100年を軽く超える木造建築です。
歴史的価値を持つ建物を保存し、映画の街での映画館復活というミッションを持って2019年から活動を再開した上田映劇の、左右に並ぶチケット売り場の片方、向かって右のスペースが重澤珈琲です。
歴史を感じる空間でこだわりの珈琲を飲みながら、上映されているこだわりの映画についても語ったり思いを寄せたり。贅沢な時間を過ごせるはずです。
上の写真で「あさくさ雷門ホール」というネオンが付いているのには理由があります。詳しくはこちら↓
▲またテイクアウトも可能です。この店頭のディスプレイなども粋ですよね。
住所:上田市中央2-12-30
定休日:月曜
営業時間:8:00 〜18:00
甲州屋
重澤珈琲の次は甲州屋へ。
▲駅前通りと海野町通り(うんのまち)の交差点の上田城寄りの角にあります。
交差点の反対側には甲州屋という名前の化粧品店もあって、これはもともとが地元の大商店だったからのようです。そんな老舗商店が店を構えているのは昔はこの交差点の辺りが大繁華街だったからだそうで、それが証拠に今もいわゆるスクランブル交差点になっています。
▲店頭の昭和喫茶でよく見かけるサンプルケースを見てから店内に入れば、この通りの見事な昭和レトロ喫茶ぶり。
砂壁の天井、タイル調の床、ビニールレザーの椅子など。
創業1963年(昭和38年)という時代には最先端におしゃれな喫茶店だったのではないでしょうか。
▲ウィンドウにかかる黒いレースのカーテンも昭和レトロな雰囲気を盛り上げます。
コーヒーはKEYコーヒー。たぶん創業以来ずっと変わらずKEYコーヒーなのでしょう。
住所:上田市中央2-2-14
定休日:火曜
営業時間:10:00 〜18:00
木の実
甲州屋からスクランブル交差点を斜向かいに渡り、裏手の方に回ると上田のかつての歓楽街(飲み屋街)が広がっています。
その一角にあるのが伝説的な喫茶店「木の実」です。
ちなみに ”このみ” とか ”きのみ” とか読み方が揺らいでいますが、私たちが聞いたところでは ”きのみ” のようです。
▲創業が1957年(昭和32年)。創業者のご夫人が今もママとして頑張っています。
斜め向かいには有名な町中華の「福昇亭」、一軒隣には有名なカレー屋「べんがる」があります。
▲とにかく創業が古い、メニューはコーヒーだけ、しかもコーヒー1杯が180円、店内は撮影禁止、ドリンクだけであっても撮影禁止。
とにかく行ってみないと何も分からないという、まさに伝説の喫茶店。しかも1950年代創業で人も建物もメニューも今もそのまま残っているのです。
神田神保町に辺りは外見がこのように古い喫茶店が残っていたりしますが、まさにあんな感じです。
住所:上田市中央2-4-9
定休日:不明
営業時間:10:30 〜22:00
コロナ
木の実の辺りから飲み屋街をさらに奥へ進むとあるのが「コロナ」という喫茶店。
あまりに間が悪い店名ですが、こちらは創業1960年(昭和35年)。伝染病なんかよりよっぽど昔から活躍しているわけです。
▲店内はちょっと古い街のカフェという感じで、正直あまりレトロ感はありません。
▲むしろ外観の方が昭和レトロな雰囲気を感じさせます。
やはり飲み屋街の喫茶店ということで、素人のお客さんより飲食店の従業員の方が出勤前に利用するケースが多いんじゃないでしょうか。
住所:上田市中央2-10-8
定休日:日曜日
営業時間:12:00 〜22:00
ニュービーナス
この飲み屋街のあまりに有名なレトロ喫茶「ニュービーナス」。
レトロというよりカオスな喫茶店という方がしっくり来るかもしれません。
▲田舎の親戚の家に遊びにいったみたいな雰囲気もあるし、飲み屋街の古いスナックみたいでもあるし。
たぶん本来はスナック営業もしていて、それが昼間に食事や喫茶メニューを出したら思わぬ反響ということだったのかも。
▲お店の外観からしてカオス。開店前なのでシャッターが半開きですが、このシャッターが開いたら営業開始。階段を登って2階のニュービーナスへ上がります。
ニュービーナスになって30年、その前の初代からだと40年だそうで十分昭和レトロを名乗る資格はあるのですが、昭和レトロという世界に留めるのはあまりに惜しいニュービーナスです。
住所:上田市中央3-9-7
定休日:土日祝
営業時間:11:00 〜18:00 (金曜は22:00まで)
亜羅琲珈
木の実やニュービーナスがある飲食街を抜けさらに北の方に歩いたスドー写真館の1階が「亜羅珈琲」。
亜羅珈琲と書いて ”あらびか” と読みます。もちろん今東京で話題の%ARABICAとは無関係です。
▲アーチ状に石で装飾された昭和な感じでオシャレです。
亜羅珈琲は向かって右側が入口。
▲カウンターをL字型に客席が囲む店内。。
古い感じのランプとか、買った時は高かったんだろうなと感じる椅子、大量のマンガ本などなどなど。
意識していないのでしょうけど、昭和レトロの見本みたいな内装です。
住所:上田市中央3-15-4
定休日:不明
営業時間:朝は早い 〜 19時ころまで
わたりょう
上田駅から駅前通りを北に向かい、北国街道の名残を残す柳町にも近いところにある「わたりょう(Watryo)」。
これまで紹介した中では正統派とも言えるレトロ喫茶です。
▲欧州風の外観。明らかにデザインして狙っているのが分かります。
ちなみにここは洋裁学校やカルチャーセンターを運営する綿良学園(わたりょう・がくえん)の建物の1階です。
たぶん生徒さんが授業前後に寛げる場所としての性格もあるのだと思います。
▲創業当時のままだと思われるカウンター周り。
風格漂う木製の椅子が良い感じを出しています。店内もレトロ喫茶にありがちなカオスな雰囲気もなく整然としているのもポイントが高いです。
▲朝7時から開店していて10時まではモーニングがいただけます。
写真のこれで500円。厚いトースト、目玉焼き、サラダ、コーヒーそして灰皿(取材時は喫煙可能でした)。
センスも良く雰囲気のある店内で静かに楽しめる王道のレトロ喫茶です。
住所:上田市中央3-6-2
定休日:日曜
営業時間:7:00 〜 16:00
上田のカフェ文化
上田駅から「重澤珈琲」〜「わたりょう」と歩いてくる途中、駅前通り沿いに新旧多くのカフェや喫茶店が並んでいるのを見かけたと思います。
ここで紹介したレトロ喫茶を楽しんだら、そうした新しい場所も探索するとさらに上田を楽しめると思います。