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南青山を代表するレトロ喫茶がアイビー通りの「蔦珈琲店」でしょう。
表参道も近い南青山の静かな住宅街の一角、蔦が絡まる一軒家の喫茶店で渋いオーナー淹れる珈琲。さらに日本武道館などを手掛けた高名な建築家の元自邸。
単に古いだけでなく、文化自体を継承し伝えている喫茶店です。
店主の方が2023年2月22日に逝去されました。貴重な空間と美味しいコーヒーを30年以上ありがとうございました。お店は暫くの間休業するそうです。
2023年5月13日蔦珈琲店の公式Twitterにて蔦珈琲店閉業のお知らせが発表されました。非常に残念でなりません。
店構え
「蔦珈琲店」という店名のまんま、店構えは蔦だらけです。
そして青山学院大学と店の間の小路の名前は誰が名付けたか「アイビー通り」。店名の由来はこの店構えと通りの名前からとしか考えられません。
ここ蔦珈琲店は家が近くて歩いていける距離なのでよく店の前を通ります。そこで、昼夜の蔦珈琲店、そして、冬の蔦の枯れている状態を掲載します。
この蔦珈琲店のある一軒家は、京都タワーなどの設計をした建築家山田守の自邸です。
建築家が手掛けた喫茶店はここでも以前に紹介した四谷のロンがありますが、この蔦珈琲店は山田守が自邸として設計した建物に喫茶店がテナントとして入ったので、最初から喫茶店として設計した四谷のロンとは成り立ちがちょっと違います。
冬はこんな感じでちょっと寂しい蔦珈琲店の店頭です。
この入り口は自邸として設計した時にはなかった動線で、テナントが入る時に作ったエントランスです。▼
店内
木漏れ日が眩しいガラス張りの店内です。
このスペースは自邸の時はサンルームだったのかな?とお思いでしょうが、違います。ここは元々ピロティだった場所で、半屋外でした。
山田守の死後、テナントに貸すためにガラスをはめて室内スペースにリノベーションした場所です。▼
夜の蔦珈琲店の店内の様子です。
丸い鏡に映る庭の緑の美しいこと!▼
ここは表参道?と疑ってしまうくらい静かな時間が流れています。
最近は週末になると遠方からわざわざ訪問するお客さんが増えてきて、外に行列ができていることもあるので、以前とは雰囲気がちょっと変わってきたのかもしれません。
メニュー
シンプルな喫茶店メニューです。
ケーキは店内の黒板に書いてあります。▼
2022年2月再訪したら金額が変更されていましたので追記します。こちらが新メニューです。
マーガリントーストセットがなくなり、フードメニューが100円づつ上がっています。▼
オーダー
これはお昼時に訪問した時の記録です。
カレーは欧風カレー。ルーがきれいに三日月型です。福神漬けは別皿で出て来ます。
こちらはクロックムッシュセットです。
山盛りのクレソンサラダが憂しいですね。クレソンの下に隠れているのはヤクルトです。これまた嬉しい!
カレーもクロックムッシュもコーヒーがつきます。▼
これはレアチーズケーキです。▼
ポイント
山田守は、戦前は逓信省に在籍し、数多くの電信・電話局を設計しました。
ル・コルビュジエらの近代建築運動にも影響を受け、戦後独立後は主に学校や病院などの公共施設の設計で、日本のモダニズム建築を牽引した建築家の1人です。
誰もが知ってる山田守建築としては1964年竣工の京都タワー。東京では日本武道館があります。
この蔦珈琲店がある山田守自邸は山田が65歳の時に建てたもので、亡くなる72歳までの7年間を過ごしました。
山田守設計の自邸の一部で、彼も眺めたであろう庭を眺めながらいただく珈琲は最高の味です。
立地
表参道駅から近い青学沿いに通るアイビー通り沿いに建っています。
今でも静かな場所ですが、竣工当時はもっと静かな住宅地だったでしょう。
蔦珈琲店(閉店)
港区南青山5丁目11−20 MAP
10:00-20:00(土日祝12:00-)月休