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流行のアパレルブランドやオシャレなカフェが立ち並ぶ表参道。そこから一本入ったまい泉通りは、さらに感度が高い人々が行き交うまさにトレンディーな商店街。
そのまい泉通りで平成が始まったその月から営業している「月光茶房」を紹介します。
立地と歴史
Apple表参道の横から入る「原二本通り」。外苑西通りまで抜ける裏道なのですが、通り沿いにとんかつで有名な「まい泉」の青山本店があることから「まい泉通り」とも呼ばれています。
月光茶房はそのまい泉通りのほぼ中間に位置しています。向かいには「パンとエスプレッソと」の本店、近くには有名な「LOTUS(ロータス)」、同じビルの2階には「LATTEST」といった、お洒落さでは定評のある人気カフェが並んでいます。
そんなエリアで1989年1月、平成最初の月に「カフェ・サバト」という名前で創業しています。当時は内装も明るいバブル時代らしいカフェだったそうです。
そして1998年から、内装を木と漆喰とを使った落ち着いた雰囲気に変え、店名も「月光茶房」としてリスタート。
月光茶房という店名はすでに四半世紀近く、カフェ・サバトの時代も含めれば30年以上。同じオーナーが珈琲を淹れ店内に流れる音楽を選曲しながら続いています。
ただこの月光茶房、今は訪問難易度がかなり高い喫茶店になっています。一部では ”幻の喫茶店” と言われるほどのようです。
ここ数年、店主の体調が優れず長期休業したり、パンデミックで休業ですることがありました。そのため2021年春でいったん閉店したのです。その後体調も回復してきたため、今は不定期で営業を再開しています。
ただし営業日の告知は行っていません。SNSや電話でお店に営業日を尋ねるのもNGです。店主の体調が万全でない中で営業していることもあり私たちも配慮する必要がありそうです。
表参道やまい泉通りを散策している際にチェックしてみて、営業していたらラッキーな感覚で利用したいですね。
店構え
その店構えはおしゃれなコンクリートのビルの地下1階。
通りからは覗き込まないと分からない場所です。
地階には広い中庭があり、その一角が月光茶房の店舗です。
大きなガラス窓から見えるのはレコードプレイヤーやうず高く積み上げられたCDやLPレコード。
これだけで月光茶房が美しい音楽を聴きながら美味しいコーヒーを静かにいただく、音楽喫茶なのだと分かります。
入り口は左右2つのドアがありますが、月光茶房への入り口は右側。
左側は「ビブリオテカ・ムタツミンダ(Bibliotheca Mtatsminda)」。月光茶房のレコードの収蔵庫でもあり、店内が満席になった場合の待合室も兼ねています。
店内
店内はL字型のカウンターだけのシンプルなもの。
現在は9席で営業しています。満席の場合は先にも書いた通り、隣室のビブリオテカ・ムタツミンダで月光茶房の席が空くのを待ちます。
窓際の一角はレコード室。イギリス製のオーディオシステム、そして選ばれたCDやLPが出番を待って待機しています。
店主は珈琲を淹れ、時折CDやLPを交換にレコード室に足を運ぶだけ。あまり会話する人もなく静かに珈琲を飲みながら、流れる音楽を耳を傾ける時間が過ぎていきます。
壁には創業以来のカップが並んでいます。
その時の流れる音楽やお客さんの雰囲気に合わせて店主がカップを選びます。
少し前まではレコード室の窓から入る光がメインの仄暗い空間でしたが、最近は明るい照明に切り替えているようです。
メニュー
メニューは珈琲と紅茶だけ。
以前はケーキや軽食、それにアルコール類もあったのですが、2014年でサンドイッチは終了。ケーキ類は2020年から、アルコールも2021年からありません。
珈琲は堀口珈琲を使ったもの。コーヒー豆の種類によってペーパードリップとネルドリップを使い分けて淹れています。
紅茶はTeejセレクトの茶葉のみを使ったこだわりの紅茶です。
オーダー
今回オーダーしたのは「ブラジル」と「オレ・グラッセ」。
時間をかけてゆっくりドリップしたコーヒーは豆の味がしっかり感じられる本格派です。
カップはお湯で保温、ポットはヒーターで加温。つまりフィルター、カップ、ポットすべて適温に管理しながら、最初は一滴一滴ゆっくりお湯を注いで淹れる、究極サードウェーブコーヒーです。
これが30年以上続いてるわけです。
珈琲を待つ間も店主の手もとに目が行ってしまいます。
同業者と思われるお客さんが多いのも納得です。
オレ・グラッセ、冷たいカフェ・オ・レです。
まずミルクを注いだグラスを冷蔵庫で冷やしておき、最後に冷たいコーヒーを注いで完成。
ポイント
月光茶房のポイントは2つ。
同業者たちからも一目置かれている、こだわりコーヒーとその技。カウンターで店主がドリップしているところを観ているだけでも訪問したかいがあったと感じます。
また創業以来使われているカップたちも。
この写真、カップのふちに見える染みのようなものは金継ぎの跡です。それだけ長年手入れをしながら使い続けているのです。
そして最大のポイントはその音楽コレクション。
前衛音楽やジャズで知られるドイツのECMレコードの全カタログがコレクションされていて、実はこの店主はその筋では有名なコレクターで音楽研究家なのです。
カウンターの後ろにはいつも店主お気に入りのレコードジャケットがディスプレイされています。一般的な商業音楽のレコードも時々ディスプレイされていますが、基本的には前衛ジャズ、フリーミュージック、実験音楽など。それとECMレーベルのレコードです。
そうした音楽の愛好家たちにとっては聖地のような喫茶店なのかもしれません。
そうした音楽喫茶にありがちな敷居の高さもなく、美味しいコーヒーとこの空間を楽しみに訪問してもなんの問題もありません。
ECMレコードのコンセプトは ”沈黙の次に美しい音”。
表参道のお洒落エリアにある沈黙の次に美しい音を聴きながらこだわりのコーヒーを飲みながら時間を過ごせるハードボイルドな喫茶店です。
基本情報
店名 | 月光茶房 |
住所 | 渋谷区神宮前 3-5-2 MAP |
最寄駅 | 東京メトロ表参道駅 A2出口から徒歩約3分 |
営業日 | 不定期 |
営業時間 | 13:00 |
禁煙・喫煙 | 全席禁煙。店外に喫煙スペースあり |
営業時間、定休日などは変更になる可能性があります。