目次
外観
昭和な喫茶店、飲食店を主に書いて来ましたが、レトロスポットも織り交ぜていきたいと思います。最初の昭和スポットはレトロとか昭和ぽいというより威厳と風格のある建築です。
ここは東京大学建築学科教授の内田祥三(よしかず)により設計され、昭和13(1938)年に建設された旧公衆衛生院です。
構造は鉄骨・鉄筋コンクリート造、スクラッチタイルで覆われたゴシック調の外観で、「内田ゴシック」と呼ばれる特徴的なデザインとなっており、隣に建つ東京大学医科学研究所と対になって建てられました。現在は、2018年より港区郷土歴史資料館「ゆかしの杜」となっているので一般の見学も可能です。
近いので季節を変えて訪問しました。新緑の季節も良いのですが、桜の季節は隣の東京大学医科学研究所附属病院敷地の桜が見事なので一番おすすめの時期かもしれません。▼
冬のアーチ越しの風景▼
春のアーチ越しの風景。桜が見事に咲いています。▼
これは内部から見下ろした俯瞰図です。それにしても立派な建物です。
今時は公立の建築といえどもここまで敷地に対してゆとりのある設計はなかなかないですね。▼
内観
内部をみてみましょう。すぐに目に付くのは中央の2層吹き抜けの空間です。
左右に分かれる階段が作り出す空間が印象的です。
床材、壁材にふんだんに石が使われていて威厳と風格がしっかり残っており、建材としての古さを全く感じさせません。
彫刻のように美しい階段▼
手すり下のアイアンワークがアクセントになって重厚な石造りに柔らかさを出しています。
手すりの上のアクリル部分はおそらく最近になって後付けされたものと思われます。公共施設となると幅広い年齢層の人が訪れるので安全第一になります。安全が優先なのは十分理解できますが、なんとも邪魔な存在であることは確かなのです。▼
照明といい、モールディングといい、全部パーフェクトです。
旧講堂
内観の中で階段の吹き抜けとこのスペースが圧巻です。
備え付けの机椅子が設置された階段状の講堂です。
建設当初の姿が最も残されている場所です。電灯器具や講壇左右に設置されたレリーフなどもポイントです。
旧院長室・旧次長室
公衆衛生院長及び次長の執務室です。
当時は今と違って高級だったベニヤが張られていたり、旧院長室の床は寄木細工となっており、当時の職人技術の高さを見ることができる部屋です。
ポイント
建築としてはポイントだらけです。
この施設は有料で常設展示室と企画展示室を見ることができます。
ただ、このブログにアップした二層吹き抜けの中央ホールや旧講堂・旧院長室などは無料です。ですからレトロな空間に身を置くだけなら展示室は行かなくても十分満喫できます。
立地
東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金台」駅で2番出口から出れば徒歩1分で到着します。近くには東京都庭園美術館もあって洋館散歩するにはよい場所です。
港区立郷土歴史館
港区白金台4丁目6−2 MAP
9:00-17:00 第3木休